« ジェニロペを聞く父。 | Main | 正体不明の歯痛 »

2005.05.09

びみょーな既視感

 さて。この五月をもちまして、生ぬるく観察しておりました「愛ルケ」も一年の連載の折り返しにかかりました。お爺ちゃん、その話もう聞いたからと言いたくなるほど同じネタが繰り返される壊れたレコード状態の本編ですが、本当におじさんたちに大人気なのか、はたまた前回高村薫とモメた日経が良識人の非難の嵐よりも契約問題を重視したのか、予定通りに11月まで連載するんだそうです。
 よかった、日経、会社で読んでて。自分で金払ってたら、あんな駄文が載ってるのには生理的に耐えられません。人の金&人の場所にお届けだから鼻で笑ってる心の余裕があるわけで。
 今さらって感じですが、連休開けて久しぶりに本編読んだら(で、いきなりああいうシーンかよ。おげー)、妙な既視感がわいてきました。
 この話って。なんだか出来の悪いエロゲみたいな匂いがするよなあ。エロゲをやったわけじゃないけど。

 興味のない人はスルーしてくださいですが、改めてわざわざ「愛の流刑地」をざっくり紹介。<いやがらせ?
 主人公はかつて恋愛小説がバカ売れした小説家崩れ55才、今は本も出せず昔なじみの計らいで大学で講師したり雑誌のアンカーマンやったりして小金を稼いでいる。妻とは離婚同然の別居状態。(だったが、認知症の作者のために最近は離婚済みになってるような)フラワーアレンジメントで生計を立てる妻に昔建てた豪邸(?)を譲り、書斎代わりだった千駄ヶ谷のマンション月家賃十万円也描写されるたび部屋数増殖中に住む。貯金残高八百万円。自立済みの息子はいるが、出場即退出でキャラとしては意味なし。
 社会生活についてはほとんど描写がなく、読んだ限りでは引きこもりのごとき暮らしぶり。友達も少なく長い正月休みに碁だか将棋だかを打った(と一行)誰か、他に中瀬という仕事を都合してくれる出世した男友達が一人だけ出るが、話に必要な情報をしゃべるための存在で(後、高い酒と飯をたかる)友情などは書かれない。他人は出ないが、衰えだした自分の身体に関する描写はやたらに多い。朝は早く目覚めるとか、すぐトイレに行きたくなるとか。その上、仕事もせずに何かというとすぐ寝る。
 売れない&貯金ないので、金勘定に細かい。不倫で使ったホテルの延長料金を惜しみ、逢瀬に交通費がかかるとグチる。
 あまりに魅力のないキャラっぷりをwebであげつらわれてから、後出しじゃんけんのように若いころに二人の女性と三つ巴の不倫をやったという話がちょこっと出た。IT業界にお勤めで夜はバーだかでバイトしてる29才の愛人というのがいたが、話の始め頃に振られている。
 同様に仕事しろとwebでさんざん叩かれた後、「虚無と熱情」という恋愛小説を書き始めたが、執筆の苦労などの描写はろくになく、いつのまにか150枚も書き上がっていたりする。

 おじさんには身近に感じられるかもしれないが、女性からするととても不倫相手に選ぶ気になれないしょぼい主人公になぜか惹かれるヒロインは三人の子持ち人妻36才。「先生」の小説のファンだったのがポイントらしいが、話の中で主人公と小説の話はしない。「最近は書かれてないのですか?」と作家に聞くファンってめずらしい。
 夫は製薬会社のエリートで「ハンサム」でやさしい。と主人公とヒロインの共通の女友達談。しかし見合いで結婚したヒロインは夫に愛情は無くえっちが乱暴でいやと言う。子どもは妊娠したらえっちしなくていいから成り行きで生み、今は夫には完全マグロ対応。(以上、主人公とのピロートークで語る)
 関西に住んでいたころに主人公と不倫開始。会って二度目にふらふら部屋についていき即えっち。しかも避妊なし。(現在に至るまで。本人談「大丈夫なようにしています…」)貯金の少ない主人公を気遣ってか、正月に帰省先から主人公に会いに来たり、転勤の引っ越し手配で夫と上京したときに一人で延泊したり、そんなことをしたらバレるだろうという行動を平気でやる。
 春から夫の転勤に伴い関東在住。引っ越し直後で土地になじめていないだろう幼稚園児含む三人の子どもを放り出して、週二回9時-2時で主人公のマンション通い。上京直後、夫に三人の子の面倒をみさせて主人公宅に来たこともある。
 主人公曰く、小柄で色白でグラマーではなく日本人体型。出産経験の割に体形は崩れていない。控えめで奥ゆかしく品があり、短大出だが(断わる意味がわからない)それを上回る魅力がある。つきあいだして半年は経っているのに、未だに主人公に敬語。(なのにえっち後、水商売の人みたいな口調)そんな「きっかりとしつけが行き届い」た雰囲気も主人公には好ましい。
 主人公と会っている間、何も飲まず食べない。(除く、主人公が一回だけ奮発したフランス料理とふぐ料理。あと、駅の立ち飲み紅茶)

 こんな二人の不倫模様はもっぱら室内のみで進行。ぶっちゃけ外でのデートはほとんどなく、会う→即えっち、の繰り返し。不倫の罪悪感も葛藤もバレるかもというスリルもなく、二人の周囲の人間関係や社会環境の変化もない。まったり平和にえっち三昧。その合間に主人公の口を借りた作者が男女観、恋愛観、セックス観を延々演説。爺のえろドリームを根絶せよとまでは言わないが、全国紙の開いたらすぐ目に入るところでやるのはどうか。

 既視感がわくのは、女性とのおつき合い文化がなかった時代のおじさん&お爺さん仕様にカスタマイズされまくった人形じみたヒロインのせいかと。仕事に口挟まない、賢しらなことは言わない、自己主張はしない、圧倒するような発育した体つきではない。
 で。自分より若く有能な夫を持つそんな人妻が、夫より自分の方が全然いいと言う。「こんなの初めて」とか「あなたがこんな私にした」とか(死語よりセンスねえ)恥じらいながら言ってくれる。普段は清楚なのに、そのときはろくな前戯もテクも無くてもあんあん乱れまくり。
 …書き出してみたら、出来の悪いエロゲより安易でお手軽でヒネリなし。いくらこの手の話がご都合主義一直線とゆーても。
 エロゲに限らず、見栄えも普通で取り柄もなさげな主人公の元にいろんなタイプの美少女たちがよりどりみどりに現れてハーレム状態という、ドリーミーな少年・青年マンガが大量生産されてて、私も女の端くれだからどうよ?とは思うけど。
 「愛ルケ」みたいなおじさんドリームの方がより問題だと思う。マンガやエロゲの消費者たちは、生身の女性との距離はうすうす感じてる気がする。現実の女はこう簡単にはいかないよなー、とか、リアル女はめんどくさいとか。だけど、おっさんたちは自分がリアルに直面してないことを自覚してないっぽいもんなあ。
 最近の若者はヴァーチャル体験ばかりで、なんて言う資格はないと思うのよ。こと、女性に対する認識に関しては。

|

« ジェニロペを聞く父。 | Main | 正体不明の歯痛 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

Comments

うまいなぁ。
これ読んでいると、一度も読んだ事が無いけど、一度は読んでみたくなる。
プロしか相手にしてくれない淋しいオジサンの妄想って感じなのかな?

Posted by: marumasa | 2005.05.13 at 12:43 AM

一度も読んだことないままにした方がよろしいかと。世代的な問題もあるにせよ、同性にこんなアホがいると知るのもキモチわるいでしょう?<じゃあ、紹介すんなよ。
でも、どこかのブログで会社でおじさん達が嬉々として話を振ると書いてる人もいたなあ。そういう人は、仕事の一環として義務として読まないといかんですね。
この書き手、プロにしか相手にしてもらったことないんだな、というのは、読んでて実感として思います(^_^;)。それを天下の全国紙で暴露というのもなあ。

Posted by: きいろ | 2005.05.13 at 01:08 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7367/4095774

Listed below are links to weblogs that reference びみょーな既視感:

« ジェニロペを聞く父。 | Main | 正体不明の歯痛 »