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2005.06.15

これはおっさんのリトマス試験紙

 かとすら思う「愛の流刑地」です。まだ縁切ってませんよ。バカだなあ、俺。
 連載も折り返しに入って二ヶ月。そろそろお話しらしい起伏を作る気ないんかい、ごるぁ、全然えろさのないえろシーンを自慰的に書き散らすだけなんかい、ごるぁ、ですが、認知症のおじいちゃんには周囲の声など全く聞こえていないのでした。

 離婚同然の別居中の妻と自立した息子しかいない主人公はともかくとしても、下は幼稚園児・上でもまだ小学生の三人の子どもと睡眠薬飲ませて家庭内レイプまでしちゃうほど妻に執着した夫がいながら、ヒロインは自分の誕生日に不倫相手のしょぼくれ男と箱根にお祝いの一泊旅行に出かけるという暴挙に出ます。えええーー?どうやって?
 という最近のあらすじを紹介をすると、これはなかなかドラマティック、波乱の展開みたいですが、ヒロインは出てくるに当たって苦労も悩みもありません。なんと転勤してきて二ヶ月の東京に富山に住む母親を子守のために呼び出すのです。東京見物でもしない?って。で、上京するなり母親に子ども三人とこないだ自分をレイプした(とヒロイン主張)夫を押しつけて、自分はるんるん不倫旅行。そんな人非人の夫と自分の母親を同じ屋根の下に置いて平気なヒロインの冷淡さよ。ってーか、子どもはお母さんの誕生日を憶えてるんじゃない?慣れない東京でこの不可解な状況に放り出される母親の気まずい立場を思いやらんのか?
 思いやらないのです。なんたって、書いてるのナベ爺だから。
 箱根の西部系巨大張りぼて豪華ホテルに到着したヒロインは、またまた何かにつけ「こんな誕生日初めてなのです」「なんて豪華」などと薄っぺらい感動の言葉を垂れ流し。バブル期に学生時代・OL時代を過ごした世代とは思えません。この女、友達もおらず全くモテなかったのでしょうか。
 ピンボケなのは主人公の55才自称作家も負けてません。不倫旅行なのに、ヒロインの家がある駅を通過するロマンスカー利用、部屋で食事もできるのにわざわざダイニングに行ってコース料理を食べ、デザートタイムに「ハッピーバースディ、冬香さま」と書かれたホールケーキをウエイターに運ばせる始末。全然人目を忍ぶ気もなけりゃあ、かつてモテたという主張が信じられないダサいセンス。なのにケーキを見た37才成りたての三児の母のヒロインは手を叩いて喜びました…。
 なんかもー、大人が読む小説の体裁になってません。風情も何もありゃしません。
 後は例によって艶めかしさも何もない、棒きれ投げ出しみたいなえろシーンに突入です。あ、ネットでやいやい突っ込まれるので、しかたなく申し訳程度に風呂に入る描写があったか。温泉旅館に来ていながら、風呂に入るシーンがない方が不自然でしょうが。自分の風呂嫌いをここまで露呈せんでも>ナベ爺。
 最近はえろに入ると流し読みしてるんですが、ざっと見てもブロック組み立てみたいな色気のないえろシーンです。ってーか、表現が即物的すぎて興ざめ。この駄文を読むと薄汚くて、エロい気分になるどころかえっち全般に嫌悪感がわくという女性も少なくありません。
 盛りのついた中坊のようながつがつしたえっちの後は主人公の脳内演説開始です。これほど深い性愛の境地にたどり着いた自分たちの気持ちは、もう「大好き」という言葉では言い表せないほどだ。
 という彼らの狂おしくもエスカレートする愛を表現する言葉をご紹介しましょう。

 「君が好き」「あなたが好き」→「大好き」「大々好き」→「わたしは、あなたの好きの、その倍よ」「俺はその倍の倍」、→「好きという言葉では足りないわ」

 ……。55才と37才の愛の睦言です。一方はおつむのヨワそうなトロい女だから仕方ないとして、主人公は曲がりなりにもベストセラー入りを狙う復活作を執筆中の作家です。しかも恋愛小説書きです。
 誰がこんなボキャブラリーの貧困な作家が書いた本を買うでしょうか。それ以前に、どこの出版社が原稿を引き受けるというのか。担当編集者は上司から叩かれまくりますよ。
 この貧相な体験を披露した上で、主人公は自分たちの心も性も燃え切った大人の男女にしかできない純愛は不倫だからこそ為し得たのだとブチ上げます。経済目当ての打算的な結婚ではこのような純粋な関係は築けない。その中でも研ぎ澄まされた自分たちの愛の姿は不倫純愛とも言えるものだ。
 って、そのまま作品のテーマとも言える部分を書き殴りますか。小説の主題って、読んだ人間がそれとなく感じ取るものじゃないんですか。はあ。
 それ以前に、女房も子どももちゃんと愛したこともなきゃ、愛されたこともないような、家庭・結婚の価値を知らない人間に「結婚なんてツマンネ」と言われても説得力ないです。単にあんたが家庭を築くのに失敗しただけでしょ?自分が不倫っちゅーか、プロの女性しか知らないだけじゃん。自分の知ってる方がいいんだもーん、エラいんだもーん、ってお子様のケンカじゃあるまいし。

 と、私には失笑しか感じ得ない「不倫純愛小説」ですが、巷には「冬香みたいないい女いないかな」って夢見るおっさんがちらちら出現してるようです。(時折、通りすがりのblogで見かける)
 それは「いい女」じゃないでしょう。アナタにとって「都合のいい女」です。
 そんな妄想抱いてるうちは絶対モテませんって。
 私から見ればネットで言われる「デリヘルセクサロイド」という表現がぴったりなヒロインがいい女に見えるとは、普段ビジネス書くらいしか読まなくて読解力がないのか、えろさえ読めりゃーいいって読み方してるとしか思えないんですが。
 ま、「愛の流刑地」マンセー男は頭が前時代だから要注意、というリトマス試験紙としての価値はあるなと思う今日この頃です。

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Comments

まさかと思うくらい、おっさん(50代以上)に人気ですよ。
同業者組合の会合なんかに出ると、その話で持ち切り。
やっぱ日経読んでる人多いのかなぁ。
「m君も読んでみたら?男の気持が良く出ているよ。」と薦められた。
男の気持ねぇ。
「ファンの女友達がいて、ある程度は聞いてます。」と言っておいた。
しかし、相当に広まっているみたい。
女友達と言っただけで「えっ?彼女?」と聞いてくるだから、思わず脱力。
「アイルケ」を地で行ってるよ彼らは。

Posted by: marumasa | 2005.06.18 at 02:14 PM

あああ。やっぱりそうなんですかーorz>50代以上に人気。夕刊フジやらどこぞの雑誌やらのひも付きコラムで大人気評は聞いていたけど、眉唾だったんです。後日のメディアミックスのときに旨い汁吸うために、仲間外れになりたくないと思ってのことじゃないかと。私の希望的観測だったんですねー(涙)。
毎日モロ見えの最終面で女の裸体絵や絡み絵の挿し絵があれば、日経取ってりゃいずれ気づくでしょうけど、こんな陳腐な作文に「男の気持ちが出てる」と言える読書体験のなさにどっと疲れが。ポルノとしても評価しないって女性、多いのに…。こんな自己チュー・オレ自慢のヘタいおっさん、いやだって。

この作文でもっとも女性の不評を買ってるのは、デリヘルセクサロイドの異名を取るヒロインの現実感のなさなんですが、男性からはそういう声はあまり出ず、むしろ「僕らのアイドル」発言まで出てるらしいです(苦笑)。
幼児を含む三人もの子育てをしている専業主婦の生活が全くわかっていない男性がいかに多いかってことですね。こういう世代が少子化だの子育てだの女性の就労問題などにモノ言ってるのかと思うとお笑いでしかありません。

その場の雰囲気ってもんもあるでしょうから、marumasaさんもテキトーに話を合わせないといかんでしょうけど、近しい人にはあんなの鵜呑みにしたらむしろ女性には嫌われると助言してやってくださいまし。

Posted by: きいろ | 2005.06.27 at 12:52 AM

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