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2005.07.21

心残りをあきらめて

 SF者として、私の基本のとこにあるのは小松左京なのである。子どものころに刷り込まれてるからどうにもならないんである。(なぜ星新一にならなかったのか?とも思うが、しかたない)
 今でも好き好きのジュブナイルは「青い宇宙の冒険」。伝奇小説みたいな始まり方から、後半ものすごい勢いでビッグスケールのSFになる。読んだのは小学校高学年?中学なりたてのころ?壮大な宇宙の衝突。文章を読んだだけで喚起されるビジュアル。そして、空港の夜が好きになるエピローグ。
 それからずっと、大学くらいまで定期的に「小松読みてー」の波が来た。アシモフ・クラーク・ハインラインではなく、星でなくツツイでもなく。
 「日本沈没」の第二部が書かれるのをずっと待っていた。日本の国土という「母」をなくした日本人が、世界のあちこちで新たな精神の拠を築くためにもがく話になると聞いていた。あれから四半世紀どころではない時間が経った以上、もう小松先生の心にはあのころそのままの「続き」などないだろう。
 から、それはまだあきらめがつく。でも。…「虚無回廊」はどうなったんですかッ。角川から再販されたとき「ついに続きを!」と拳を握ったのに、その後すっかり話は途絶えて。完結したら読もうと、ずっとずっと寝かせてあるのに(涙)<をい。
 縁起悪くて申し訳ないですけど、小松先生、お願いですから「虚無回廊」だけはこの世におられるうちになんとかしてくださいー。

 と、ずっと思ってきましたけど。ここ一年ばかりでふっと、「小松先生がお望みでないのなら、未完に終わるのもいたしかたない」と思うようになりました。
 作家は定年のない職業。自分で自分の生み出すものの品質を判断して、現役として「商品」(敢えてこう書く)を生産する身でいるべきかを決めなければならない。小松先生が自分の納得するレベルの作品を書くのに、今の自分の気力体力が足りていないと感じておられるのなら、残念だけど、ほんっとーに残念だけど、こういう形で終わるのもやむを得ない。もしかしたら、小松先生が信頼できる後進に後を頼まれるかもしれないけど。
 やっぱ、小松先生の手になる「虚無回廊」以外は読みたくないのですよ…。

 というように思えるようになったことについては、日経新聞の某駄文に感謝しなきゃいけない。ことさらに晩節を汚すことはないであろうと…。


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Comments

> やっぱ、小松先生の手になる「虚無回廊」以外は読みたくないのですよ…。

あれって不人気で打ち切りでしょうか?

「首都消失」とかあの頃の小松先生は大風呂敷を広げて・・・

「虚無回廊」もこれからって時にじゃないかったっけ。
それとも掲載誌以降加筆されていたのか・・・

SSの正体はワープ航法を持てなかった星間生命の為のスターゲートか?
それとも超越者が生命の分布を知る為の採取箱か?

Posted by: まりパパ | 2005.07.26 at 01:37 AM

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