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2005.11.13

本は売れない時代

 はるばる研修旅行先までついてきた、その根性に負けて。
 ナベズン先生怪走中の「愛の流刑地」。中身なくずるだらと連載継続しております。いったいいつ終わるんだ。もう一年経ったがや。
 ヒロインが死んだ後、話は八割方昔の蒸し返しと取材メモの羅列状態。ささやかな進展は「こんなの、売れない」とつれなかった出版社が、著者(主人公)が人妻をくびり殺して逮捕されたとたん「どうもこれ、事件当事者のモデル小説らしい」と気づいて公判前に出版決定したこと。今どきなかなかあり得ない初版十万部・新聞に巨大広告を打って、ただいま爆発的に売れているらしいです。(物語世界で)
 初版十万部。もしかして愛ルケ単行本化の際にはこのスケールで!というナベズン先生の野望を表しているのでしょうか。
 出版界の良識が現在どうなってるかわかんないんですが、容疑者の書いたモデル小説って売っちゃっていいものなんでしょうか?不倫のあげく真っ青中に相手に殺された母親を持つ子どもへの配慮とかってないのかしらん?家族の皆さんへの名誉毀損と取られたりしないのか?「本って本当に今売れてないから、やるとこはやるんじゃないの?幻灯舎とかうまい広告打ちそうだけど」とは相方。そうですか、幻灯舎はやりますか。「愛ルケ」の出版元、幻灯舎とのうわさなんですが。

 愛ルケの主人公の悪びれのなさというか、自分が人を殺したという罪の無自覚、殺した相手の家族のことが全く思い浮かばない無神経、自分と息子や別れた妻(をいつまでも妻と呼んで自分を気にかけてくれてるように感じてるのもイビツ)の世間体ばかり口にする節操のなさは、いくらヲチと割り切ってても読んでて気持ちわりーです。それどころか、自分が締めた女ともう会えないなんて悲しんだり、留置所で白スリップ姿で降臨するヒロイン妄想して自家発電したり、ヒロインが命を賭して本を出してくれたとかわけわかんないこと考えたりで、最近読み出した人は主人公がもしかしてえん罪で捕まったんじゃないかと誤解しそうなノー天気ぶり。ほんとにこいつがうっかり殺してますから。壮絶な愛の果ての死、なんてご大層なもんじゃなくて、単なるウッカリですから。考えると萎えそうなくらいアホらしい話です。
 これが犯罪常習者のリアルな無反省ぶりを活写するのが主眼の小説なら、文章のヨレヨレぶりを棚に上げればゴツいリアリティがあると評価してもいいかな?ですが、ナベ先生は主人公を人間のクズだとは思ってないみたいなんだよなあ。むしろ不幸で哀れなキャラのおつもりらしいです。いったいどこの国の…(以下略)。
 あれだけミステリを「リアリティがない」「人間が書けてない」とバカにしておきながら、主人公が逮捕されてからの描写と言えばリアリティも心情描写もぐだぐだだしなあ。
 これが来年前半のベストセラーになるのかと思うと、わたくし、出版界の将来に深い絶望を感じずにはいられません。いい本と売れる本は一致するものではないとわかっていても、ですね…。

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