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2006.01.19

人間を書く

 凶悪事件の報道を聞くと「いったいなぜ?」と思う。凶悪じゃなくても、近所の見知った人が自殺したと聞いても、「いったいなぜ?」と思う。
 よくあることもあまり見かけないことも、人間のすることに「いったいなぜ?」と思わせられることは少なくない。その中でも、疑問が消えず残るものの正体を見極めようと苦闘する物書きの方がたくさんおられる。それはノンフィクションであったり、小説であったりし、書いた末に腑に落ちる結論が見い出されるかというと、やはり本当のところどうだったのかは解明できないままだったりもする。それでも書き手が対象と本気で向き合って葛藤の末に書かれた物は、口も開けないままじっとりと重いものを腹に残していく。
 人間を書くってそういうことなんじゃないでしょうか?

 東電OL事件というものがあって、その衝撃故にノンフィクションが書かれ、事件をモチーフに桐野夏生が小説も書いた。それらの作品は真実を解き明かしたのか?と問われれば、今はこの世にいない当事者は違うと答えるかもしれない。でも、対象に迫りたいと苦闘した書き手たちの気迫に読者は圧倒される。こんなこともこの世にあるのかもしれないと思う。フィクションにおいては、登場人物は自分の言動のわけを理解していないかもしれない。それを語る言葉を持たないかもしれない。でも、作者の思索の痕は地の文の行間から自ずと読者に伝わってくる。
 それが作者の筆力ってもんじゃないでしょうか。

 文章に力があるということは、笑いのネタとして話題に上るのとは違うような気がします。作者の思索の深さに圧倒される、それが文章の持つインパクトってもんじゃないでしょうか。

 なんてことをなぜ考えてしまったかは、ごく一部の方にはわかっていただけると思います(笑)。
 何言ってんですか?な方、ごめんなさい。

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「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

Comments

フィクションと断りが入っていても、それを「事実」として思わず読者が勘違いして他で恥をかいてしまうような作品ってありますよね。それは小説かもしれないし、映画かもしれないし、アニメかもしれない。いずれにしてもそんな作品は、作り手のもつ情報や思想や情熱が作品の何十倍もあって、それが凝縮されたものとして完成すると思うのです。決して、何も無いところからネタをかき集めてきて、苦しみながら組み立てるものではないと思うのです。生みの苦しみとはそういうものではないと。

プロとして活動する以上コンスタントに作品を生む必要があるでしょうから、そんな情熱が蓄積されるのを待つことはできないのかもしれません。だからといって本当に書きたいものを書く機会を失うことになりかねないような作品を世に出すのはどうかと思います。

その点で「作りたい作品」と「金を稼ぐための作品」をうまく使い分けている押井守監督などはプロとして一つの理想の形なのかとも思います。次回作『立喰師列伝』ですからねぇ。イノセンスと愛知万博で培った技術と収入をすべて突っ込んだんでしょうかねぇ~(^^;

Posted by: tate | 2006.01.23 at 10:25 PM

書き込みが重複しているようなので、一件削除しましたです。

 プロだからと言っていつもいつも傑作は書けないし、納得のいかないものや駄作が生まれてしまうのは人間だから仕方のないことだと思います。プロである以上、ある水準以上のものを求められ、それに応えていかなければならないのもしんどいことだろうとも思います。
 でも、そのときできるかぎりの力を注いで書いたものは、読む側にも伝わりますよね。きっと。作者が誠意と熱意をもって書いているのであれば、出来が悪いことを残念だと思っても「ばかにすんなー!」と腹を立てることはないでしょう。

 作者の「書く」という行為に対する姿勢というか、態度というかは、おのずと行間から浮かび上がってくるものですよね(^_^;)。

 作家性の強い作品を作りつつ、「仕事として」商品になるものもきちんと一定レベル以上で作れるというのは才能ですね。それができる人はすごいです。

Posted by: きいろ | 2006.01.28 at 02:29 AM

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