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2006.02.15

中の人なんかいない

 今月の「本の雑誌」を読んでいて、えええー?っという記事を見つけました。
 去年のGW頃に封切られた「サラ、いつわりの祈り」という映画がありまして、J・T・リロイという作家の自伝的小説に入れ込んだ監督が映画化した作品という紹介でした。内容は母親としてはダメダメな女性がそれでも子ども(作家が自分をモデルにした)に対する愛情というか執着が捨てられなくて、虐待と情を注ぐことを繰り返して…ってなくらーいものだったから、私はとても見る気にはなれませんでした。この年になると、映画には娯楽を求めてしまうのです。
 私の好みはともかくとして。原作の作者J・T・リロイさんは、その後屈折した母の愛の影響なのか女装して娼婦業を営み(男の人です)、麻薬その他のどん底の生活から作家業に転身し、出した一作目の自伝的小説「サラ、神に背いた少年」がヒット、セレブ層からファンが続出したという経歴の持ち主。だったんですが。
 その「J・T・リロイ」という人物がそもそも架空の、存在しない人だったみたいなんですねー!なんですってー。存在しない人の自伝的小説って、それはただのフィクションですよね。んまあ。
 自伝的「小説」って時点でいくらかのフィクションは入ってるものと作家・読者間で了解が取れてると考えるべきなんだろうけど、本人からしてフィクションってのはちょっとなあ。しかもかなり特殊な生い立ちの持ち主ってことになってたから、ニアリー実話と思って読んで感動した人はガッカリしそう。
 「サラ、いつわりの祈り」の映画化作は先日DVDが出てますけど、そんなわけですんごい悲惨な内容だとしてもフィクションですから。ご覧になってもあまり深刻に「こんなことがこの世にあるなんて!」と悲憤にくれなくてもだいじょうぶです。
 ってゆーか、DVDに同梱されてるだろうリーフレットの記載とか、今となっては誤った内容になってそうで。いいんだろうか。

 この経緯については「saltwatertaffyの日記」にも紹介されてました。(2006/2/7から三日分)「架空の人物の自伝って形式もおもしろいかなーと思って、てへー」って経緯ならそこそこ笑って許されるかもしれないけど、「J・T・リロイ」プロジェクトの皆さんは本気で人間一人でっち上げるつもりでいたようだから、スキャンダルになるんだろうなあ。児童虐待の参考図書として紹介してたところもあるし。
 原作の巻末の訳者あとがきを見つけましたが(メルマガ「児童文学評論」半ばほど)、今読むと痛々しいものが。

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