「長い日曜日」、読了
映画「ロング・エンゲージメント」の原作。ずいぶん前に買うには買っていたのだけど、翻訳物の文体が苦手&けっこう入り組んだミステリなんでぶつ切れに読むと内容がサッパリになるのでは?不安から積ん読状態になっていたもの。気合い入れて一週間で読みました。<概ね平日の通勤時間のみで勝負しているので。
封切り当時時代がかったラブロマンス風に売り込んでいた映画は、実は戦場シーンがどかんどかん・生々しくてきちゃなーいな画面がけっこうあったりしたんで、劇場で「がーんんん」とショックを受けたお客さんも多かったんじゃないだろうか?
原作を読んでみると、二時間でまとめるために設定を変更したりアレンジしたりした部分がかなりあるにも関わらす、読後の印象は映画と近い物になってるのがさすがだなーと思いました。(どっちを主に見てるのか)ただ、原作で経過する時間が意外と長いのには驚いた。ヒロインが戦死したと伝えられた恋人が実は生きているのでは?という情報を得るまでに二年、その後恋人の情報の断片を拾い集めながら真実に行き着くまでに五年くらいかかってる。1920年代が舞台で、メインの連絡手段は手紙、たまに電報や電話という状態だからそんなものでしょうが、ヒロインのねばり強さは尋常じゃありません。
でも、戦争で行方知れずになった人を探すという話の割に、印象はあまり湿っぽくない。足が不自由で子どものころから車いす生活を送るヒロインに劣等感はほとんどない。(少なくとも描写上は)引っ込み思案でもない。容貌にはちょっとばかり自信がある。途中で別の恋をしたりはしないけど、他の人を「いいな」と思ったりはする。強固な精神力と生命力。同じように戦争で大事な人を失ったり、生活が壊れたりする登場人物が多いものの、全体に悲惨な雰囲気はない。
したたかっちゅーか、地に足が着いてるっちゅーか。ちょっとした笑いすら文中に配されてる。これがフランス人というものなのでしょうか?<一冊の本で結論づけるのはどうか?
おフランス人の名前になじみがないんで、登場人物を憶えるのに難儀。背景にある第一次世界大戦の知識がないのも読んでてちとつらかった。でも、ガチガチな「ミステリ!!!」という作風ではないから、ミステリ苦手な人でも純粋に物語として楽しめそうです。
原作が先か、映画が先かといえば、やっぱ原作が先で。ただし、映画を見るつもりならマチルドはオドレイ・トトゥだとイメージ作って読んだ方が映画に入りやすいかと。映画はややファンタジックな味つけがしてありますが、戦場描写は生々しいので見る人選ぶかも。
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「時の"風"に吹かれて」、読了(2010.01.08)
- 「世界カワイイ革命」、読了(2009.12.17)
- 「ゼロの焦点」、読了(2009.12.07)
- 地獄ボタンが透けて見えました(2009.11.24)
- 「深海のYrr」、読了(2009.11.24)
The comments to this entry are closed.
Comments
オドレイ・トトウは「アメリ」からの大ファンでジャケ買いならぬ女優買いしてしまったのでした。
DVDを。
でも、予想以上に良かった。
Posted by: marumasa | 2006.03.13 05:37 PM
いい映画なんですが、乙女な女性には勧めにくいです>「ロング・エンゲージメント」(^_^;)。
「ダビンチ・コード」では、また雰囲気違いますね>オドレイ・トトゥ。
Posted by: きいろ | 2006.03.20 01:28 AM