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2006.07.29

「日本沈没 第二部」、読了

Amazon.co.jp: 日本沈没 第二部: 本: 小松 左京,谷 甲州
 うううーむ。いや、これはこれでおもしろいとは思うんですが…。
 小松先生の33年の宿題が谷甲州氏ほかのSF作家のみなさんの協力で解決されることとなりました。さすがに私は素で33年待ってはいないのですが、「もう二部は書かれることはないんだろーなー」と気にかけてはきたので長年のしこりが溶けた気分です。小松先生の残る大仕事は「虚無回廊」なわけですが、それはともかく。
 「第二部」を読んで、世界情勢の中で国土を持たない国のあり方を書くってむずかしいよなーと痛感しました。日本が沈没した後、日本人は世界各国に散っていきそれぞれの場所で苦労したり成功したり様々な体験をし、国家としての「日本」も諸外国と綱渡りの外交の中で存続の道を模索しているのですが、その「諸外国」を全方位で描くわけにはいかないのですよね。ページ数を限られた小説の中では。そこで物語のポイントとなる「大国」が中国・アメリカになるのは、現状から見ても至極最もだと思います。でも、なんとなく「世界」を狭く感じてしまうのは仕方のないところでしょうか。
 それと、盛り込まれたネタの数やボリュームに比べてちょっと枚数が足りない感じ。せっかくこー、地球シミュレーター絡みで緊迫のサスペンスちっくになってきたのに、えらくあっさり事件は集結してしまう。第一部みたいな天変地異によるドラマがない分、ポリティカルサスペンスっぽい仕立てにするのかなと思ってたんだけど、そこまではいかない。全体に淡々と出来事が並列的に進んでいくんで、エンタメ的などきどき感が少ないのです。そういう方向性の話じゃないのはわかってるんだけど、もったいない感が…。
 相方と話したのは「やっぱりこれは谷さんの小説だねえ」ということ。もちろん、実際に書いたのは谷さんだから当然なんだけど。この話の最大のキモシーンはきっと中田首相と鳥飼外相が「これからの日本と日本人」について意見を交わすシーンなんだろうけど、ここがすごくあっさりなんです。小松さんだったら一部の田所博士と渡老人のやりとりみたいに仕上げただろうなあと思うと、「もっと浪花節な感じで!鳥飼さんもせっかくなんだから序盤からぼちぼち目立たせて!」なんて欲が出たりするのですが、これも谷さんの作風なのでしかたがないところ。
 それと、これは最近のキャラに感情移入させて物語に引っ張り込む系の話に慣れてる人には読みにくい小説だろうなと思いました。読者の視点代わりになる固定キャラがいない。どころか、「その後、あの人どーなったの?」みたいな登場人物が多くて。篠原さんなんか序盤からいたのに、フラッシュメモリ預かった後どーなったのー?とか、山崎さんって結局なんだったのー?とか、キャラ主体の構造で作られた小説だったらあり得ない展開の数々。せめて渡桜ちゃんくらい継続的に引っぱってあげてもよかったんじゃないかと。
 とはいえ、久しぶりにごつい感触の小説を読めて楽しかったです。

Amazon.co.jp: SF魂: 本: 小松 左京
 「第二部」を通勤と昼休みに、休日は新書「SF魂」を読んでいたので、七月は小松月間化してしまいました(笑)。思わず第一部と「復活の日」を再読しようかって気になりましたが、積ん読もたまってるんで、当座はそっち優先で。
 追記ですが、朝日の書評。巽さん、ネタ割ったらいかんやろー。中田さんはのっけから出るからいいとしても、懐かしのあの人とかこの人がどこでどう出てくるかは未読の人のために内緒にしててあげないと。もっとも、それを気にする人はもう読み終っている時期か。

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