ウツな展開
今まで特にチェックもしていなかった朝日新聞の連載小説「メタボラ」をなくとなく読み始めている。もう始まって半年以上経つんで、今までの経緯は全くわからない。わからないなりに読んでいる。こういう毎日載せる小説って、比較的途中入りがしやすいように工夫してあるんだろうか?
べったり沖縄弁のアキンツと呼ばれる青年は、ホストをやりつつもう彼のいる(しかも相手は同郷の因縁あり男)幼なじみの女の子を思い切れずにだらだら腐れ縁状態。彼女にうつつを抜かしている間にひいきにしていたお客の女性たちにツケを踏み倒して逃げられて、店に借金で縛られるはめに。その上彼女は自分の店が立ち行かなくなった彼と夜逃げしてしまう。
というところで章が変わり、物語の冒頭から出ていた記憶喪失の男ギンジが記憶を取り戻し、自分の過去について語り始める。気が弱いくせに酒を飲むと母に暴力を振るう父。そんな父に脅え憎みながらも別れようとしない母。両親を軽蔑する妹。そんな家庭がじりじりと崩壊していく様が延々書かれていく。
こういうウツ…な展開を書くと桐野夏生ってうまいというか、人間のいやぁな面をさらっと拾い上げて描写するなあと。<一、二冊読んだ程度でえらそうな。
連載ももう300回を越えて、そろそろまとめに入ると思われる状態でこんな展開。どう考えても明るく前向きなハッピーエンドは来そうにない。「その人の立場独自の」しあわせや達成感は描かれるかもしれないけど。だからこれからおつき合いしてもいい気分にはなれないこと必至なのに、なぜ読んじゃうんだろうなあ。こういうのがプロの技というものなのかしら。
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