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2007.02.14

ここまで行けば

 タイムリーにも、というか、狙いましたね、という感じで、「名作平積み」の後番組で「風立ちぬ」の創作秘話というか、堀辰雄の半世紀みたいなものを紹介する「堀辰雄~生と死のはざまに咲いた恋」をやってました。
 恋愛物は苦手だわ派の私はもちろん「風立ちぬ」を読んだことはないんですが、これだけ有名なものだとあらすじくらいは知っている。元ネタとして、作家が同じ体験をした、というか私小説的な内容だということも知っている。でも、作品を読んだことがないくらいだから、作者の人となりなんか全然知らないわけで。
 なんか、この堀辰雄って人がえらいかわいい人なんである。「風立ちぬ」のヒロインのモデルになった、本人の婚約者にあてた手紙の内容とか、すごいかわいい。20代後半の男の人にこんなことを言うのは失礼だけど、療養仲間(?)の彼女のために書いた近辺の地図にさりげなく郵便局の場所を書き入れておいて、できれば手紙が欲しいなあ、という気持ちをにじませていたり、たわいない夢の話を書き送っていたり、しつこかったりくどかったりしない程度の不器用で一生懸命な恋心が文面から伝わってくる。こういうのを見ると、やっぱ手紙はいいなあと思う。
 婚約者の死期が迫ったころ、知人に送った手紙に「僕のフィアンセが」とあって、「うわあぁあ、フィアンセー」とのけぞったりもしました。久しぶりに本来の意味で「フィアンセ」という単語を見た。
 婚約者の死後数年経って、堀辰雄は若い娘さんと新たな恋をするのだけど、彼女との仲を進展させる前に完結させきれずにいた「風立ちぬ」の最終章を書くために冬の軽井沢にこもったという逸話はなんというか。書き上げたはいいが、その後病状が悪化して臥せってしまったというのもなんというか。ここまでやってくれるのなら、私小説もいいか、恋愛小説もやるなあ、と膝を正す気になります。<なぜそんなにエラソー。
 いや、恋愛小説なめてました、すいません。そしてやっぱり、本物と評価されるものにこもる魂って違うのね。
 恋愛小説書く誰もがこんなことしてたら、何本も話書くなんて無理でしょうけど。

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