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2007.06.29

「銀色の恋人」、読了

銀色の恋人

 マイフィールドからは遠い題材とはわかってましたが、後学のためというか、わりあい評判のいい本なので読んでみました。
 16才という年齢以上に世間知らずでばりばりのキャリアウーマンの母の影に隠れるように生きているジェーンは、ある日人間に限りなく近く作られた芸術系の才能を発揮する男性型ロボット、シルヴァーに恋をする。「モノ」でしかなく人の所有物になるしかないシルヴァーを追いかけて、ジェーンは今までの生き方を変える体験を重ねることになる。
 と、私風にざっくりざっくり要約すると、この話の本質はラブストーリーではなく少女の成長物語であるという解釈になってしまいます。実際、全体のボリュームからするとジェーンとシルヴァーという「二人」の結びつきのみに割かれたページ数はそんなに多くない感じ。ジェーンが強大な母の庇護から出て、シルヴァーと共にあるために精神的成長を遂げていく過程がメインなんじゃないかと。
 SF的にどうなの? という点では、「てへー」と笑ってごまかすしか。シルヴァー自身が他のロボットたちと違って自我を持っているのではないか? と思わせる部分はあるものの、そこを掘り下げる流れではないし、それで人間と人間の創造物の境界がうんぬんという題材に行くわけでもない。ジェーンの一人語りという形式が取られているのは、テツガク的テーマに踏み込むのが目的の話ではないですよ、という宣言のようなものなのかもしれない。がっつりしたSFが読みたい向きには食い足りない読後感だけど、そもそもそんなものを期待して手に取る人はあまりいないだろうしなあ。
 リクツや議論的な展開や専門チックな描写がないんで、SF馴れしていない普通の女性読者にも読みやすいと思う。いろんな伏線や人物配置がきれいに生きて終息していくという点では、よくできたいい小説だし。<エラそな言い方ですいません。
 男の人は。…どうなのかなあ。最近は少女マンガもふつーに読まれているようだし、あらすじ読んで興味があればいいかも。

 私的注目は訳者あとがき。もしかしたら、という推測つきだけど、この小説は遠いとおーい形かもしれないけど、「人造人間キカイダー」の影響を受けているかも、だそう。ええええー?
 この話が書かれたころ、アメリカで特撮版キカイダーが人気を博していて、欧米の小説や映像作品にはあまり見られない「男性型ロボットと人間の女性の淡い恋」という題材を、作者が直接視聴していないとしてもSF関係者から聞き及んだことがあるんじゃないかと言うようなことが書かれてました。
 ほんとだったらすごいな。イギリスの人ですよ、タニス・リー。
 ちゅーか、特撮版ってそのニュアンスがそんなにあったっけ?<さすがに憶えていない。

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