「バビロニア・ウェーブ」、読了
GW前から約一ヶ月がかりとは、私の読書スピードもどんくさくなったものよのう…。基本、通勤途中でしか読まないようにしているからというのもあるが。
この、潔いまでのキャラ描写の薄さに、昔のSFってこうだったよなーと懐かしくなりました。主役ですらフルネームが出ません。(むしろ、読者の視点となるべき主役だから名が無いのか?)特に「バビロニア・ウェーブ」はばりっとハードSFなので、キャラはあくまでネタをソリッドに伝えるための道具として機能してるというか。女がたった一人しか出ないし、主役のマキタと絡むでもないし。
登場人物がみな、何らかの形で外宇宙外への進出を強く意図しているけど(メインはSETI。登場人物の大半が地球外生命体とのコンタクト方法を研究する科学者なので)、それぞれの動機の説明もなし。でも、「なぜ」の説明がないことへの違和感は、私にはなかったです。
だって、人類は外へ、外へと心を駆り立てられていくものなのです、本能的に!
と思ってたんですけどねえ。今はどうやら、そうでもないみたいです。この辺は、アポロ計画がリアルに記憶にある世代とその後の消費された情報だけを体験している世代の温度差みたいなものでしょうか。大気圏外へ、月へ、太陽系外へと魂が引かれていくのに理由はない、本能がそれを欲しているのだと感じるのは、もはや古い人間なのでしょう。
とにかく、太陽系の果てにずどーんとレーザー光束が存在していて、そこからは無尽蔵にエネルギーが取り出せちゃうんである! この光束、通称バビロニア・ウェーブとは!! ってアオリにわくわくできる人は買い。
しかし、私も今どきの傾向から100%遠いところにいるわけでもなく、読んでて食い足りないなあと感じたところもなくはなく。特に、マルドゥク基地の研究員のみなさんが次々と○○していくのはどーなんかなあ? と思ったりするわけだ。
思ったりするのだが、光束から得たエネルギーに乗って遠く未知の宇宙を旅していく終盤のイメージは、やはり捨てがたく。孤独も不安も越えて、遠宇宙へ向かう行為に共感する気持ちは生涯失いたくないなあと思う私なのです。
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