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2007.09.21

「不確定世界の探偵物語」、読了

不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫 か 2-1)
 鏡明氏と言えばアトラス、とか、そう言えば一の日会、とか、一の日会っちゅーと亜空間要塞なんて連鎖を書いて「あ、なるー」と思っていただけるのはどのくらいの世代だろうか? ってなことを書くと墓穴を掘るからそっとしておくとして。<書いちゃってるよ…。
 「本の雑誌」を読んでる関係上毎月コラムで鏡氏にはお目にかかっているけど、小説を読むのは始めて。何でも寡作、しかも未完の帝王(爆)だとかで本としてまとまっているものが少ないのだとか。「不確定世界の探偵物語」はかれこれ20年近く前の本の復刊で、なのに最新の小説集? なのらしい。
 この世にたった一つ、タイムマシンのある世界。それを使いこなすたった一人の富豪のために、世界の成り立ちが歴史が、いつの間にか変わることがあたり前の世界。そんな世界で探偵を営むなんて無茶でしかない。その無茶をやっているのが俺、ノーマン・T・ギブスンだ。
 というような、一人称のハードボイルド系文体の連作短編集。なぜか探偵助手に収まったスタイル抜群で殺人的な戦闘力を備えた美女ジェニファーに、基本的にはぼこぼこにされながらも主人公がラブロマンスな関係を結んでいくあたりは今日的と言えるかも。(いやもー、この主人公、特殊な能力がないので当然かもしれませんが、毎回瀕死の重傷を負ってます。探偵はつらいよ)
 でも、全体にはSFに関する豊富な知識とセンスを武器にしたアイディアストーリーなので、キャラ小説的なノリを求めると楽しめないと思われ。今どきのキャラ書き込みばりばりの小説に馴れていると、一人称・主人公視点の話とは思えないくらいキャラ描写は薄めです。
 アイディア練り込みの濃いストーリーのわりに全体にさらっとした仕上がりで、ついさくさく読み進んでしまい「あれ、この話のネタわりって…」とページをめくり直すこともしばしば。かといって、がっちがちのSFでーすという雰囲気でもないんですよね。不思議な感触の小説です。ジャンル外の人にも読みやすい気がするんですが、本当のところどうなんだろう?

 私の頭が悪いせいか、イマイチ世界の謎が全て披露された気がしないんです。そういうことは問題にせずに、この世界にちらと見えた曙光のようなものをめでたしとして読み終るべき話なのかもしれません。

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