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2008.06.06

また惜しい人が…

 氷室冴子さんがガンで死去とは…。享年51才です。まだお若かったのに。
 ここ数年は作品も発表することなく表舞台にはすっかり姿を見せなくなっておられましたが、もしかしたらずっと闘病されておられたのかも。
 私はオンナノコ的なものはどっちかというと苦手で、だからクラスの子たちが楽しげに読んでいたコバルトなんてーものとは無縁の十代を送りました。「これ、感動して泣いちゃった」などとコバルトの小説を勧められるとどうしていいのかわからんというか、ぶっちゃけメイワクというか、当時の少女小説には本当に困惑させられたものです。だって、どれもこれも生活や人生で恋愛とか友情とかが一番大事、みたいなテーマの話ばっかだったんだもん(当時の私の眼から見れば)。なぜ人類の行く末とか科学の未来とか生命の神秘とか、そういうことに目が向かんのだっとたまに読んでもイライラさせられるばかりでした(十代の頃はSFどっぷらーだったので)。
 そういう、私の中では評価低だった少女小説を「もしかしてすごいのでは」としみじみ思わせた貴重な作家の一人が氷室冴子さんでした。当時私の読んでいたものは八割方男性が書いたもので、中にはSFやミステリの世界でも「古典」と呼ばれていたものもあり、となるとグローバルな視点というか壮大さではまったく問題はないものの、人の書き方という点ではどうしても大雑把な印象のものが少なからずありまして。そういうものをがんがん読んでいたとき、ひじょーに邪道な理由で手に取ったのが「なぎさボーイ」でした。
 あららー、読後感はいいのに、なんというか、ちょっとした毒がちゃんと入ってる。人のイヤさがうんざりさせることなく描写されてる。へー、少女小説ってこんな力をつけてきたんだ、すごいな…。<なんという上から目線。その印象は姉妹編の「多恵子ガール」で確立しました。少女小説、侮り難し!
 という印象を強めてくれる作品に続々と出会えた、わけではなく、氷室さんの作品は私の中でかなりの例外だったことがわかってもきましたが。(その後、積極的にコバルトに手を伸ばすという状態には結局ならなかった)どうも波長が合ったというのも作品に対する好印象を強めていたようです。
 しかし、思えばあの当時コバルトからデビューした方々は、物書きとして実力派が多かったんだなあと思います。コバルトで活躍した後、普通の小説を書くようになって高く評価された人がたくさん出ましたから。
 書きかけたままのものもいくつか残されており、これは存命であっても完結させられたかどうかはわかりませんが、まだこの世におられたなら「いつか終わるのでは」という夢も抱けましたが、それも叶わなくなりました。でも、氷室さんの作品はきっと少女小説界でしっかり生き残っていくんじゃないかなーと思ったりしてるんですが。もう時代が違うのかなあ。

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「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

Comments

しばらくお見かけしなかったせいか、ショックとは言っても現実感はありませんでした。
若いツバメに入れ揚げて、なんて書かれていたこともありましたが、きっと闘病されていたんでしょうね。
でもやはり、ショックです。
名作「碧の迷宮」、下がでることはないんですね……

この人のお陰で、親が専攻なので敬遠していた日本の古典に興味が向きました。
古代という時代にも歴史に表れていない部分への興味が湧きました。

もちろん、最初に読んだのはいわゆる少女小説でしたが(笑)
新井素子→「シンデレラ迷宮」だったかな?
ジャパネスクや銀金、クララ&アグネスはまだ全部大事に持っていますよ。新井素子のコバルトはSFでも全部手放しちゃったのに。

わたしはSFの方が後なので(新井素子→SF古典とつながった)、氷室冴子は、かなり根元のところにしっかりリンクされているような気がします。
SFとほぼ同時期に入ったのが、久美沙織(丘ミキ、少しヨットネタがあったので期待したが……)の恋愛ネタでしたが、この人もSF書いてましたね。ちなみにこっちは全部友人に借りたので、一冊も買ったことはありません。先日高齢出産ネタの本がでていることを知り、それなら読んでみたいなと思ったりして(笑)

Posted by: luna | 2008.06.09 at 09:49 AM

ワタクシも氷室さんの作品は「なぎさボーイ」と「多恵子ガール」しか読んだ事がなかったのですが、今でも大切にして持ってます。
人の気持ちの中にあるイヤな部分がリアルな感じで、「うん、そういうのあるあるー」と思いながら読んだ○○才の夜。
あの頃は若かったなぁ。(しみじみ)
51才でお亡くなりになるなんて、ホントにもったいないです。
っていうか、子供の頃にテレビや本で慣れ親しんだ方のお名前を、新聞の訃報欄で目にする年齢になった自分にも愕然としたりして(汗)

Posted by: くまもん | 2008.06.10 at 03:36 PM

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