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2009.12.09

「マイマイ新子と千年の魔法」を見ました

 わりと渋い映画評、アニメ評を書く人々が絶賛している「マイマイ新子と千年の魔法」を見てきました。福岡では11/21からキャナルシティで上映していたんですが、この週末11日の金曜で終映。滑り込みのレディスデーを狙ったら、シネコンなものでチケット売り場が大混雑なんですよ、奥さん! てゆーか、キャナルなんていっつもレディスデーでもがらがらじゃん、どうなってんのよ?
 と、いらっとしながら行列してたら、キャナルにはこないだたぶん福岡初の3Dスクリーンができて、「カールおじさんの空飛ぶ家」をやってるんです。それか! それ狙いの行列か!
 「今、予告編の上映中です」というチケット売り場のお姉さんの言葉を背に脱兎のごとくエスカレーターに乗り、スクリーンに突っ走ると、確かに「カールおじさん」の小屋の前にがっつり大行列。ああ、やっぱりねー。それを脇目に奥の「マイマイ新子」の小屋に入りますと、結構いい席に余裕で座れるがらがらっぷりでした。しかたないわねー、番宣もあまり聞かない映画だし、私もネットの評判聞かなかったら見なかったと思うし。
 しかし、キャナルのスクリーンはシネリーブル博多よりもでかくていい。

 「マイマイ新子」はあらすじとか紹介しちゃうと、昭和30年代を舞台に山口に育つ想像力旺盛かつワイルド(笑)な小学生の少女、新子と、父の仕事の関係で東京からやって来た引っ込み思案の転校生、貴伊子の友情と成長をメインに描いた児童文学っぽいアニメ映画、ということになる。そういうぱっと見はありがちな内容なので、当然のように人に語るとなると今ひとつ印象が地味なんである。主人公二人とも少しばかり特徴があるとはいえ「普通の子」の振り幅の中に収まっているから、ドラマチックな展開などできないしやったら不自然だし。大感動の出来事が起きて、大団円でみんなで歓声上げてEND、みたいな話にはならない。これは派手に広告打ちにくいよなあ…。
 でも、なんてーか、見ると本当にいい映画ではあるのだ。確実に。とても丁寧に作られた、流行り廃りとは違うところにあるアニメ。
 こんなふうに簡単に括っちゃうと怒られると思うけど、ものすごーくわかりやすく言うととてもとてもよくできた日本の「赤毛のアン」という感じの話。だって、ウイスキーボンボンのくだりなんて、幼少時にアンを読んだ身としては即座に重ねて見てしまうわけで。(とか言ってたら、原作の高樹さんがそもそも和製アンをイメージして書いてたんだとか(^^;)
 「マイマイ新子」がアンと違うのは、男の子も含む田舎のコミュニティが描かれているのと、夢で覆いようもない現実がアンよりもミもフタもなくどかーんと放り込まれてくることだと思う。子どもたちの子どもたちなりに揺れるコミュニティに、さらに自分たちには知りようもない大人の事情が突然襲いかかってくる。新子の過剰までの想像力と夢ぶっ壊しの現実が共存して、その中で遊んで笑って泣いて幻滅して、「明日も遊ぼうね」と言って別れていく、そういう子どもの世界と大人の世界がものすごい危ういバランスで地続きになってる物語。
 ただ、これを万人に勧めて「おもしろいっ」と言ってもらえるかというとちょっと悩む。そのひっかかりが、ハマった人には魅力であろう、この映画の最大の特徴である「千年の魔法」の部分だったりする。新子の想像力がダダ漏れにあふれるとき、現実と彼女の想像の世界はあまりにも自然に、フラットに同居してしまう。(魔法とは魔法少女のそれではなく、新子を始めとする子どもの想像力のこと)その描き方になじめない人はなじめないと思う。そもそもなんでこんなにも無意味に現在(といっても今から50年くらい前が舞台なんだが)と千年前が共存しちゃうの? みたいな。
 その辺は、この映画がそもそもすでに過去の物語であるというあたりでうまく乗り越えてください、と言うしかない。千年前を思うヒロインを見るそれからさらに50年後に住む私たち、は同じ場所にいるよね、という。

 子どもの力では現実には何も解決されないし、どんなに仲のよかったコミュニティにも別れのときは来るし、夢の時代は永遠には続かない。そもそもその時代はきらきらしいものだけでできてもないし。でも、苦いものも含めて豊かであった。と振り返れるときを持っているのはしあわせだろうなと思う。

 なんか、ネットを眺めてると絶賛してるのは主に男性なのはなぜなんだろう?(^^;)
 この話、新子と貴伊子の女子的友情物語であるのは間違いないんだけど、私はあの二人で敵討ちに行った夜、新子はタツヨシくんに全く無意識の初恋をしたと思いますよ。(<勝手な解釈)王子様でもファンタジーでもない、日常の延長の目の前にいる人をちゃんと認めるという恋。そういう意味でもあの夜は、新子にとって後で振り返って特別な体験になるんじゃないかなあ。あくまで、後で振り返って、ね。<女子的に見落とせない淡い部分もあるよ、というさりげな主張。
 挿入歌もよいですが、エンディングの曲が内容に合っててしみじみするので、帰るのは劇場が明るくなるまで待つように。

○追記
 読み直すとえらく淡白に感想書いてるけど、実は見始めてしばらくすると評判通りなんだかよくわからん涙が出て困りました。懐かしさとかわかりやすい感動とか、そういうのじゃないんですよね。自分でもあれあれっ? みたいな。
 興行成績が悪いと以降のメディア化に影響が出るらしいので、上映終了後見る機会がどうなるかわからんとこですが、レンタルやらTV放送やらで接する機会がありましたら、女性の皆さんもぜひ。

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