ちょっといい、せつない話
今朝の新聞の読者の投稿欄「ひととき」の記事。
73才の女性。冬になると乾燥で背中がかゆくなり、毎年病院に薬をもらいに通われているよう。「背中に薬を塗ってくださる家族はおられますか?」という先生の質問に「はい」と答え続けてきたのが今年はついに「先生、いなくなりました」と答えることに。
夜、風呂から上がって、夫のそばで上着をまくし上げ、背中を丸めて座ると夫は「何も出来ていないきれいな肌が何でかゆいのかのう」と言いながら、こたつで暖めた大きな手のひらに薬をつけて、隅々まで丁寧に塗ってくれた。終わると「ハイ、塗り賃千円頂きます」と冗談を言い、2人で笑った。
先に夫に先立たれた友だちが背中かきを使って薬を塗ると聞いていたのでそれをまねしたら、背中かきの冷たさがしみて、夫のいない寂しさ悲しさに一人泣いた。
という内容を読んで、50年の夫婦生活はもしかしたら恋愛で始まったのでもなく楽しいことばかりだったのでもなく、ケンカや行き違いや生活の苦しさなんかもたぶんあったのだろうけど、でもよい歳月を重ねられたのだなあとしみじみした。伴侶を亡くした悲しみはそれは深いものだろう。でも、今時の周囲の若い女性たちから聞く恋愛とか結婚の難儀さはかなさを思うと、伴侶とそれだけ情にあふれた関係を築き上げられた人生の豊かさがしあわせなものと見えてしまうんである。
一時ネットで話題になった、googleの検索欄に「夫」その後にスペースを打ったときに何が出るかってのを考えるとなおさら。(あれは何であんな候補が出るんですかねえ。ほんとにあんな言葉で検索する人が多いの?)
ネットでよく見かける男性の女性評も殺伐としたものが多いし、恋愛結婚主流になってから恋愛と結婚がどんどん夢見がちになり、その分実地でのガッカリ感が増し、男女が互いに相手のことを「高望みし過ぎ」みたいに言いあうようになってる気がするですよ。おばさん、最近そういう愚痴半分相談半分みたいな話を聞き過ぎなんでしょうか。
昔の結婚のあり方がいいものばかりだとは思わないけど、悪いばっかりでもなかったんじゃないかと思う今日この頃。
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