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2008年7月

ランカ・アタック

 歌が戦いに有利に働く。というシリーズの定石はそろそろひっくり返さねばならぬというところでしょうが、作戦を持ち出してきたのがグレイスサイドである以上「歌がバジュラに効果がある」なんて能書きを額面通りに受け取るのは無理な話。まして、なんちゅーか、改ざん(と言っていい好戦的さ?)した歌詞の内容を思うと…。あれはバジュラを誘い込む歌だよ…。
 視聴者はもちろんですが、もっと情報の無い作中の皆さんはそんなことは知る由もなく、ほとんどの人がグレイスとその背後の皆さんが書いたシナリオ通りの反応に。事前に展開していたランカを押し立てた慰問活動も手伝って、知名度と人気を備えた彼女の歌がこれから何を引き起こすのかと。しれっと「調教が必要ね」などとぬかすグレイスの恐ろしいこと。

 それで、Mr.ビルラーはなんでアルトを呼び出したんですかね? 今のとこさっぱりわかりません。銀河に輸送網を築いて一つにする。事業家としても男の夢としても悪くないところです。でも、だからといって君もその夢に協力してくれないか? とアルトに持ちかけたふうでもないし。あの場であった会話の一部しか作内では露出しなかったのか。アルトが急にやる気になったわけがよくわからん。(やる気というか、いらだってるというか)
 彼ならではの、「だったら俺だって」?
 俺にだって夢の一つくらいあるんだ、と、いつもの反骨精神を発揮してるだけなのか?
 だとしたら、気持ちと行動が一致してないんだが。(SMSとしての仕事を積極的にこなすことが、アルトの「夢」に直結してるわけじゃなし)
 なんと言っても、なんのためにバジュラの死骸を回収させられてるのかとか、その辺の理由も知らずにやる気出してるとしたら、権力側からしたら利用度大の労働力に過ぎないってことに。いや、所詮世間知らずの十代のアルトにそれほどの洞察力を期待するのも無理な話ではあるが。
 この作品って情報を適度に押さえ込むんで、今回出た部分が全てかどうか、わかんないからなあ。
 ああ、ついにシェリルのイヤリングの石が意味ありだということが公式に。なんで指輪に?>Mr.ビルラー。

 正式にランカのストーキングが許されたブレラ<ひでー言い方。彼がボディガードとして露出してきて、ついでにパイロットとしても腕力的にも秀でてしまうとオズマの立場がないなあ。すでにアルトに「お前は彼女にふさわしくない」とオズマ以上の小姑宣言しているしなあ。
 彼は彼なりにここに至る複雑な事情がおそらくあり、ランカに固執するのも失われた過去故だからしかたないんだけど。
 パイロットとしての技量や11話での戦いぶりを目にしていながら、かちんとくれば素直にブレラに食って掛かるアルトの幼さよ(笑)。
 ランカにとっては自分の記憶の中にしかないはずの歌を知っていて、しかも不器用ながら自分の歌を評価する言葉を口にするブレラは怖くても気になる存在ではありましょう。でも、オズマ兄ちゃんはないがしろにするなよ。責任だけで若い独り身の男が幼い女の子を育て上げたりはできないんだからね。(あ、こんな書き方をしたらヘンな下心があるみたいだ。オズマに関する限りは、そんな気持ちはゼロで!)
 ブレラの数少ない感情の発露シーンを考えれば、ランカを「調教する」などと言うグレイスたちとはいずれ決別するときが来るはず。そのとき彼がどう立ち回るのか。もっとも、狡猾なグレイス陣営はブレラのそういう心境もすでに考慮済みかもしれないけども。こえー。

 それにしても、シェリルの気の強さには頭が下がる。病気を理由に病院に幽閉状態におかれ、室内のTVでランカの活躍ぶりを見せつけられるのは誇り高い彼女にとってつらくもあり屈辱でもあるはず。弱った体で病院を抜け出しあの場所に来たのは、無意識のうちにアルトがよくあそこを訪れることを思い出していたからなのかなあ。
 シェリルのツンデレっぷりはほんとに切ない。
 その上、アルトの部屋から這い出て、危険を冒してもランカを押し立てての戦闘を見届けたいと言う。
 歌が力を持つと言うなら、その歌は私こそが歌いたい。
 シェリルの歌に対する思い入れを考えたら、きっとそう思うはずだろう。
 でも、現状はランカに大きく味方していて、人の心を癒し鼓舞し、戦いを救う歌を歌えるのは彼女だと周囲は言う。歌という己の存在価値を賭けた場所で、自分の無力を噛みしめる。その残酷を直視しようとするシェリルの強さがつらくてならん。

 さて。作戦通りに事が運んでランカの歌は宇宙に響き、どうやらバジュラに新たな力を与えてしまったようです。有利だった戦闘にわくドックで、機内をのぞき込んだ名のないパイロットが何やらを見て驚いていたのが気にかかる。すでにフロンティアにはバジュラが住み着き始めているのか?
 物語の外側でいろいろ見えていると、「そんなのんきこいてる場合じゃないって!」と作内の皆さんをどやしつけたくなりますわ。

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ロスト・ピース

 って、シェリルのことだったのかよおぉおーっ。<今更15話見てます。
 しかも、やっぱりシェリルのコンサートツアーは裏の意図あってのスケジューリング。冒頭の映像では、シェリルがもしかしてクローン? 人造的に作られた擬体? みたいなシーンがあったりして、いったいどんだけ周到な計画がフロンティアに来るまでに立てられていたんだか。フロンティアが選ばれた理由がバイオプラント船であることだのインプラントやサイボーグ化が進んでないことだの、「生身」が主流だからみたいに言われてたのも気になる…。バジュラにとって、というか、バジュラを利用しようとしている陣営にとって生体であるのは攻略しやすい要素なのか? そういえば、以前伝染病っぽい事象についてニュースが流れていたけど、バジュラには病原菌めいた働きがあるのかも。
 あああ、15話なんてシリーズとしては折り返しちゃいました時点でこんなに大量の新情報振りまかれたら今後の種明かしが気になってしょうがないよ。<制作サイドの思惑に乗りまくり。

 作りとしては総集編? 半分くらいは過去映像なんだけど、こういう種明かし&ネタ振りをまぶしてあるから一話の満足度は結構高かったり。レオン三島もはっきりグレイスたちとつるんでるとわかったし。それがわかったところで、彼らの目的がなんなのかは見当もつかないんだけども。
 キャシーはもう、レオンとの仲はどーでもよくなってますなー(笑)。
 彼らに対する勢力が、SMSというか、Mr.ビルラーということになるのか。しかもゼントラーディなのか。グレイスの背後の集合意識みたいなものが言う通り(てゆーか、彼らの一人がアルトのことを「見栄えこそいいけど」みたいなことを言ってて笑った)、アルトはほんとにただのパイロットに過ぎないわけで、たまたまキーマンになる女の子二人と知り合っただけの存在なのに、何を課そうとしてるんだろう。まー、やつには火事場の馬鹿力はありますが、こういうものは思ったときに思い通りに発揮できるというもんでもないですからね。ただ、不確定要素が事態を大きく左右することはあるもので。そういう、かく乱用の札としては、アルトは意外と使えるかもしれません。

 しかしなあ…。所詮「彼ら」にとって利用するための手ゴマに過ぎなかったからといって「廃棄」よばわりはあんまりだ…>シェリル。二人めのグレイスは、病状のデータを偽装することでシェリルを病院に閉じ込めて社会的に抹殺するつもりなんだろう。このタイミングでランカが超時空シンデレラ(何度口にしても、このキャッチはどうかと思うよ…)として芸能界の耳目を集めているのも、「彼ら」にとってはつごうがいいはず。トップアイドルがいつの間にか入れ替わり、世間の口に上らなくなるのはよくあること。フロンティアが本格的にバジュラとの戦いに巻き込まれ日常が脅かされている中で、かつてのリン・ミンメイのように戦いの精神的な支柱とできそうな歌姫が現れれば、大衆はあっという間に彼女について、シェリルを過去の人にするのは簡単でしょう。
 ただ、そうなるとガリア4でフェアリー9に与えられていた役回りはなんだったんだろうとも思うんだよなあ。あれ、ランカが割り込みかけなかったら、旧マクロス艦に寄生していたバジュラの巣をどうやって目覚めさせ、フロンティアまで誘導するつもりだったんだろう。ガリア4事件の真意がよくわからん。全話終わったら見えてくるのかしら。

 「彼ら」の思惑が見えた今回以降、シェリルのいばらの道は確定だな…。歌手としてのプライドを踏みにじられ、歌う場を奪われ、体調を崩す薬を投与され、やがては存在自体も抹殺される。前半の活躍ぶりが華やかで、彼女自身が勝気な性格のキャラなだけに、この落差はつらい。
 そしてきっと、あの性格だと簡単に状況には屈しないんだよ! シェリルを取り巻く勢力がたった一人の後ろ盾も無い女の子にとってどんなに強力で、太刀打ちなんかしようもないとわかったとしても、きっとシェリルはただ負けてなんかいないだろう。今までの話で「そういう子」だと刷り込まれているお客としては、ただただ手に汗握って彼女の行く末を見守っていくしかないなあと。

 次回のタイトルは「ランカ・アタック」。こんな話数で本格的な反抗作戦になるわけがなく、そもそもランカを旗印にしたバジュラとの戦いを牽引してるのが「彼ら」とくっついてるレオンなんだから、この作戦には絶対的に裏がある。ランカの「歌」の本当の作用はなんなんだ。
 先が気になる状態で積ん録が五話分あるのはむしろありがたかったり。

 あと、こう言ってはなんだが、ランカバージョンの「ダイヤモンドクレバス」はちと違うなー感があったり。OST.1の「What 'bout my star?」は本歌がアップテンポなのをスローにアレンジしてあったからこれはこれで楽しめたけど、「ダイヤモンドクレバス」はmay'nがパワフルかつ情感にあふれた歌い方をしている上、その歌が耳慣れてるからランカがメインボーカルだとちょっと薄味に感じちゃうんだよな。
 「星間飛行」をアイドルポップ系に仕立てたのは正しかったんだなあ。

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マザーズ・ララバイ

 えぇえぇえー? 先週あれだけネタ振っておきながら今回何も回収されませんかっ。
 むしろ謎を深めて終わり。確かにここのところロボなし展開が続いたんで活劇全開になったのはうれしいけど。というか、今回の戦闘、なんか構成がザツじゃね? 大軍が来ました、だから総力戦になっちゃって大混乱、なのかもしれんけど、その切迫感がこー。生死のかかった瀬戸際の戦いだって感じがあんまし出てないなと。(フロンティアの随伴艦が被弾して人死んでましたが、例によって書き割りな存在なんで重みが今ひとつ…)しかも、せっかくランカ+母らしきランシェ・メイデュエットバージョンの「アイモ」バックなのに、あんまし絵作りがぴりっとしません。もっとも、こんな半端な話数で燃え燃えにクライマックスな戦闘はできないとは思いますけど。話が進まない分、画面で燃えさせてほしかったんだがなあ。

 先週あんなに気合い入れてデフォールドするバジュラに食いついていったというのに、あっさり負傷しているミハエル。あのウルトラマンめいたかっこいいガウォークから次の出番があれとは。ちょいあわれ。しかし、もっとアレなのはシェリルだよな…。病み上がりでヨレてるのに授業の知識のみで気迫のバルキリー操縦、撃墜されて乱戦の中に放り出されあわやのところを回収されたものの、再会したアルトはランカの救出のみに気を取られてて。
 踏んだり蹴ったり。
 どこかのアニメ雑誌でランカとシェリルはミンメイとミサではなく、TV版ミンメイと映画版ミンメイのオマージュ? だって監督が言ってたそうだけど、なるほどなーと思ったり。映画のは確か、始めから売れっ子歌手で輝とは距離があるんだよな。TV版は一般人からデビューして売れていくという展開だったから、TVがランカで映画がシェリルという位置づけでしょう。そして、ミンメイは売れてから凋落して地方巡業をやったりしてなかったろうか?<見直しとかしたことないので、記憶はおぼろ。
 元々シェリルはメインキャラじゃなかったとのことだし、物語のコアに絡めるほどの裏設定を持たされてないのかなあ。ランカはなんたって、リトルクイーンでお腹がぴかー! ですから。後半も目が離せませんよ! 状態なのに比べると、シェリルの出番は縮小気味になりそうに感じちゃいます。
 努力に裏付けられた自信満々のシェリルが好きだったんで、後半しおれてしまったらすごい悲しいな。
 まるっきり出番がなく、ひっそりと回収されていたミハエルよりはましという人もいるだろうけども。(回収されてよかったけど。スカル小隊というだけで、一歩先に死亡フラグが立ちまくり!って気がしますもん)

 このところ、支離滅裂気味ですが、アルトは真っ当に主人公的活躍を重ねてます。ほんと、絵的には間違いなく大・活・躍。
 この子はほんとに火事場の馬鹿力タイプです。感情が激すると眠れる能力を発揮するというか。ただ、視野は狭いようで大局を見て行動するってのはできなさげ。これが資質なのか経験の未熟によるのかは、今のところわかんない。そういう点でも昔ながらのスーパーロボットもののヒーローだよなー、アルトは。まとめ役とかは向かなくて、一人で突っ走って結果オーライな活躍をするのがあの手の番組の主人公のお約束だからなあ。艦長はそんな能力が未知な准尉に大役任せていいんかい? と思います。反応弾なんて威力デカげな武器の使用許可なんか出して、やつが激して乱用したらフロンティアの極近だけに危険すぎる。オズマは隊長という立場じゃなかったら自分が行きたかっただろうなあ…。(あの時点でちゃんと動けるスカル小隊のメンバーはアルトだけみたいだが、やっぱ隊長職が率先して身内救いにいくわけにはいくまい)
 とはいえ、結局大事なところは毎度のようにブレラにかっさらわれてますが。相手が強化人間? サイボーグ? 通常の体力・判断力では太刀打ちできない存在だから仕方がないと言えばそうだけど、それが通っていたらずっとアルトはブレラの後塵を拝することになるわけですが。主役的にそれでいいのか? ブレラは実力的にはアルトに負けることはなくて、ランカのために不利を背負うって流れになるんじゃないかと。
 それでもカッコよく見えるのはビジュアルのおかげだな! アルト。でも、見栄えと性格が遊離してますよ、こいつは。<そこが好みだな(爆)。

 七話くらいからずっと謎の人だったブレラが、あっさりギャラクシーの軍人である旨申請。もっとも自己申告だし当のギャラクシーは消息不明で照会不能だから、なんと名乗るのも自由だけど。でも、ギャラクシー出身の「G」とつながってるわけだから、軍や政府との関係はともかく所属はそうなるってことだよなー。レオン三島といいブレラ機を預かり分析していたルカの実家(LAIだっけ?)といい、お互い通じてるっぽいところがあるし、ギャラクシー内とフロンティア内に同じ陰謀に関わるグループがいるのだろうな。つまりこの「戦争」は人間同士の思惑が生み出したもので、対異星生命体とのものではないってこと。
 今回の話の感じだと、バジュラは地球人類の争いに巻き込まれたよその生き物? でも、となるとバジュラと連動してるっぽいランカは何? ゼントラーディよりさらに遠い異星生命体の系譜ってことになるのか?(その割に、もろに地球型人類なんだけど)ブレラとも精神感応してるっぽいしな。
 バジュラと痛みや感情を共有するのであれば、今後戦闘が激しくなるとランカにはつらいことになると思われ。

 機は破損してたけどルカは無事だったようで、ああ言ったからにはその後彼はナナセにちゃんと「言いたいこと」を伝えるのかしら? 伝えたいこと言うても、ランカのように「お誕生日おめでとう」かもしんないけど。<まさか。
 いや、もー、スカル小隊にいるというだけで、オズマもミハエルもルカも気を抜いたら死亡フラグって気がして、後半はずっとひやひやしてそうです。どれもこれもみな、初代の刷り込みなんですが。呪いの隊だよ、スカル小隊。

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どんな生命力

 えっ、グレイス、生きてるのかよ?
 公式の翌週予告読んで驚いた。ガリア4のあのぶっ壊れぶりからどうやって生還したんだ? いや、どうせ擬体(のようなもの)なんかいくらでも作れる身体だろうから端から死んだとは思ってないけど、「G」であることを知らない一般の方々にどうして助かったかを説明しにくくないか? と思ったり。
 まだ13話までしか見てないんで、14話に納得のいくいきさつが書かれてるのかもしらんけど。<一番放映が遅い地域です。
 てゆーか、公式、ある意味地雷。ラジオの背景画に未放送分をあててあったりして、知らずに聞いたらネタばれじゃん!(よそのサイトで情報収集したんで、踏む前に回避)地区によって放送日が五日近く離れてるのはイタいです…。

 しかし、ガリア4で死んでるはずだったシェリルが生き残っていた以上、どんなに不自然でも「グレイス」はシェリルの側に戻って死んだも同然状態にしておかなくちゃならないんだろうな。体調不良を理由に歌わせまいとしてるとこからも、シェリルの歌が「G」的には困るのか?
 とか、先々の妄想をする前に14話を見ろ、という話。いや、見たくともうちは月曜深夜にならないとやらないんですが。おまけに翌日仕事があるんで、実際に見られるのはほぼ火曜の夜です orz。

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名前のないだれか

 もー、ヒロインはアルトでいいよ…。
 なんて、今さら言うまでもなくそう思ってる人がほとんどでしょうけども。
 だって、13話。水場を前にして、ヒロインを差し置いて自分が脱ぐわ、ぬれた髪をヒロインに結ってもらうわ、それ、おなごの仕事ですから! な役回りを全受け。さすが姫。このあだ名(?)を定着させたミハエルのことを恨む資格なし。
 となるとヒーローは誰か? ということになりますが、これは迷うことなくシェリルでしょう。一番気概が男前だし。

 冗談でなく、私は古来からのヒーローの定規を当てるとメインの三人の中で一番しっくり来るのはシェリルだと思ってます。
 アルトとランカとシェリルの中で、「名前のないだれか」を意識しているのはシェリルだけですから。
 アルトはSMSに入ってミハエル言うところの「戦争」をしているんですが、本人は特に実感してないと思われます。空を飛びたいという願望の実現手段として、目の前で人の死を見てわき起こった激情に煽られて、ああいう境遇に身を置いてはいるけど、例えばSMSにいるからといって傭兵のように自分のスキルをお金にしようと思ってるわけでも、近しい人の命が脅かされることへの怒りや恐怖から敵に立ち向かおうとしているわけでもありません。「アルトって、なんでSMSにいるのよ?」と問われれば、それは徹頭徹尾自分のためであって、他の誰かを意識しての行動ではないでしょう。
 まして古典的なヒーローのように、名も知らぬ誰かの平和な日常を守るため、なんて理由は頭の端をかすめもしてないはず。アルトが戦うときに頭に思い浮かぶのは、せいぜい顔と名を知る誰か、です。
 ランカの不思議は、彼女の歌いたいという願望がどこから出てるのかようわからんってとこです。特にデビューして売れてからがわかりにくくなった。最初の頃はただ歌うのが好きで、それを誰かに聞いてもらえたらなあと思ってる、というのがグリフィスパークの丘で歌う彼女の姿に現れてました。ランカはよく言うのです。「あなたは聞いてくれる?」と。ただ歌えればいいのではなく、「誰か」に聞いてほしい。もっとも、そう思ってるのでなきゃ歌手になんかならないだろうけど。歌うだけなら一人でカラオケに行けば済むことだし。
 それが超時空シンデレラ(笑)になってから、「歌う」ことの楽しさや情熱ってものが見えにくくなってしまいました。プロの歌手であるということは、どこかにいる名前も知らないファンのために歌うということです。ファンですらない、永遠のまだ見ぬ「あなた」のために歌う、それですら心からうれしい、という描写が、売れ始めてからのランカにはない。
 ちゅーか、売れてからの方がさらに、アルトくんのために歌うランカになっちゃってる感じです(^^;)。
 それもしょうがないかもしれんけど。まだ十代半ばだもんね。

 その点、登場時点から「プロ」であるシェリルは、常に「名前のないだれか」を意識して生きています。
 「あたしの歌を聴けぇっ」と叫ぶとき、「あたしを誰だと思ってるの」と胸を張るとき、言葉の向かう先には目の前にいる誰かだけでなく、不特定多数のファンや未だファンではない歌を聴かせたい誰かがいます。
 何より戦意高揚用のプロパガンダ作品に出た理由を、彼女はこう言います。「ギャラクシーのことを忘れさせないため」と。いくら売れっ子と言っても、シェリルがギャラクシーに住む人々すべてを知っているはずがありません。「ギャラクシーという生まれ育った場所とそこに住む人々」という直接見知ったわけではない存在を彼女は意識しているのです。ギャラクシーという生活圏を共にした、名前も知らないだれかのために、シェリルは歌手としてはやや傍流の仕事をあえて引き受けています。
 おそらくは生涯会うこともない誰かを意識でき、その誰かのために行動できるという点でもシェリルは三人の中で一番オトナと言えるでしょう。アレ作ってる間はアルトと関われるって気持ちもあったかもしれんけど(爆)。

 ぶっちゃけ、「名前のないだれか」ってのは社会ってやつです。家族や友だち、顔と名前を知ってる人たちでできた世界の外側がちゃんとあることをイメージできる、場合によっては配慮できるってのは、今時はどうも流行らないみたいです。そう考えると、今リアルな感覚はアルトやランカの感じ方なのかもしれません。
 でも、それじゃあヒーローはやれないんだよね(笑)。

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たとえばこんな別れ歌

「……や。やだなあ、アルトくんたら。そんな顔、しないでよ…。
 あたしね、今度アルバム出すの。社長がいろんなアーティストに声かけてくれて。デビューのときのもすごかったけど、今度のはあたしなんか手が届かないって思ってた人たちがたくさん協力してくれて。
 ボイストレーニングとか、本格的にやり直すの。その人たちをがっかりさせちゃいけないでしょ?
 だからね。……だから、すっごく忙しいの。アルトくんのことなんか、考えてられないほど忙しいの。
 だ、大丈夫だよ、全然大丈夫。
 あんなにたくさんの人があたしを支えてくれてるんだもん、アルトくんがいなくても、あたしはもう大丈夫。だから、そんなに心配そうな顔、しないで、…ね?」


「……なんて顔してるのよ。
 褒めてあげるわ、あんたにしては上出来の選択じゃないの。このあたしを袖にするなんて。それだけ肝が据わってるなら、これからなんでもやっていけるわ。空でも、芝居でも、なんでもよ。私が保証するんだから、間違いないわ。
 決めたんでしょ? 顔、上げなさいよ。
 人生の一時期でも、このシェリル・ノームと関われたことを光栄に思いなさい」




 フキツなねたを書いてしまいましたが、この話が「トライアングラー」をテーマにしている以上、いずれこの日がやってくる。(んだろう… orz)
 で、「ごめんなさい」後の二人のセリフをねつ造してみましたが…。
 こうやって不吉シミュレートをやってみると、やっぱりフって痛みの少ないリアクションを返しそうなのはシェリルなんだよね。そして、その言葉の裏でどのくらい泣いてるのか、汲み取るにはそれなりに大人の男じゃないと。ランカだったら「精いっぱい泣かないようにがんばってる」ことがお子様でもちゃんと理解できそうだし、そのけなげさにほだされてしまうかもって感じです。
 ……まぢで検討すればするほど後半のシェリルはいばらの道っぽくて、ため息が出てきますね。はあああ…。
 前半いい思いをしたんだからいいじゃないの、とランカスキーに怒られそうですが。

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ノヴェライズかー。

 角川から公式に(?)小説版が文庫で登場。TVでは盛り込めなかった設定部分がフォローされているらしく、設定萌えの私しては無視できない気分に。
 でも、作者のプロフィルをwikiで読んで、ちょっと悩み中。ととと、トミノとししし、芝村感染者じゃないですかっ、この作家さん。
 ガンダムなら胸を張って宇宙世紀世代であり、未だガンパレを引きずり、今まで見た中で一番インパクトを感じたアニメは? と問われたら速攻「イデオンっっっ」と答える私は、たぶんこの方とは成長過程の体験が比較的近いような気がする。<勝手すぎる思い込み。
 でもー。でもー。でもー。私としては「マクロスF」ってトミノ的な生臭さ、あるいは芝村的なシリアスしんどさってのはいらない話なんじゃないか? と思ってて。いろんな意味でどこかユルユルで牧歌的というか。トミノとか芝村的な作品ってさりげに世界観を確立しまくりなのが持ち味な感じで、その上に人が乗っかって話の厚みが出るタイプの作風だけど、「マクロスF」はがっちりした土台のない話だからなあ。そもそも人類の生存権のかかった星間航行とか、正体不明の生体兵器とかって話なのに、あんまり生きるか死ぬか感がないし。それをやりたい話じゃないんだろうし、だったらあんましトミノテイストとか芝村史観とかいらないなーって気がして、あまり作家の方が本来の味を出しすぎちゃうと本家とどんどん離れていくんじゃないかと懸念を感じてるわけです。<ほんとに勝手すぎる予感。
 読んで本編とあまりにイメージが違ったら、素直に資料集その一と割り切れば済む話ですが。
 というわけで、購入はちょい考え中。読まなきゃいけない本が他にも溜まってるし。

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